パトロンが欲しい

パトロンの意味
援助交際しているKちゃんは、常にパトロンが欲しいと願っていた。
まあ、僕も援助交際でJKの彼女と遊んでいる立場上、強く言えるほどではないが、それは甘いんじゃ?と正直思った。
「私に投資してくれるしっかりしたパトロンが欲しいんだよね」
まじめに働いて稼ごうという考えはないの?と聞くと「それは最終手段」と言う。
Kちゃんは、自分が社会不適合者だと思っている。たぶん、仕事に就いても続かないと言う。
楽をして稼ごうとかそういう事ではない。なぜお金を稼がなくてはならないのか、とそんな哲学的な道まで踏み込んでいる。
単純に考えると、生きていくためにお金は必要だ。じゃあ、お金を稼いでまで生きていく必要があるの?と言う問答になるのだ。
何が彼女をそうしたかはわからないが、極端な死生観に満ち溢れているのである。
援助交際に手を染めているのも、お金目当てではない。Kちゃんは自分を見失っていて、何かの答えを探しているのだ。
答えの相手がJKとの援交を楽しむ僕のようなゲスの極みでは不足感極まりないのだけど。
「私を生かしてくれるような人・・・私にとってのパトロンだね」
ただ、死ぬことは考えていないようだった。生きることに意味はあるの?と同時に、死ぬことに意味はあるの?との思いが両立していてバランスは取れているらしい。
自分は、何となく生まれて何となく生きている野良猫のようなものだと言っていた。
あまり深入りすべきではない。こちらはこちらで、約束したお金で遊べばいいのだ。
でも、なぜか僕はKちゃんを放っておけなかった。かと言って、パトロンになれるようなお金も甲斐性もない。
その後も、何度か援助交際をしつつメールで度々やり取りをした。そっけない返事しか来なかったが、Kちゃんが生きていることは確認できた。
やがて、学校を卒業したKちゃんから「就職しました」と連絡をもらった。
Kちゃんの就職先は、野良猫の保護施設の非常勤だった。
ボランティアに近い形なので生活ができない分は、援助交際で賄っているそうだ。
「パトロンが欲しいと願っていた私が、まさかこの子たちのパトロンになるとはね」
Kちゃんは、スマホを開いてたくさんの野良猫たちに囲まれている姿を見せてくれた。その表情は笑顔に包まれていた。
割り切り
割り切りの相場